第72章 乞い願う、光を求めて
時折、辛そうに息を継ぐ白藤。
無理もない、もう二日ほど熱が出たまま、下がらないのだから。
「道摩法師。彼女を治せますか?」
「どの程度の回復を望まれますか?」
その問いの意味を探ろうとする舞山に道満は再び同じ問いをする。
「奇跡のように、全回復をして欲しいですか?それとも、貴方無しでは生きていけない身体にしてしまいますか?」
何を言っているのだ、この男は……
それは全て治して欲しいに決まっている。
けれども、白藤を閉じ込めておきたいとも思う。
誰にも触れられたくないと思う気持ちが無いとは言いきれない。
私は……
「どうなさいますか?産屋敷殿」
まるで妖から甘言を聞かされている様な妙な感覚に陥る。
足元がふわふわとして、まるで熱に浮かされているかのようだ。
「……助けてやって欲しい……」
「ええ、お望みとあらば」
道満は細い目を、より一層細めて笑う。
「………」
「白藤…目が覚めたか…?」
「お兄、様……?すみ、ません……」
「大丈夫だ。気に病むな……もう少しお休み」
「はい……」
再び眠りに落ちた白藤は道満のお陰か血の気を取り戻している。
一先ずは安心だ。