第76章 違えし縁
「無駄なあがきだ……」
無惨の腕から伸びる鞭のような触手が二人の攻撃を防ぐ。
が……
この、攻撃は……
肉が、傷が、灼ける様に熱い……
かつての無惨の記憶が蘇る。
始まりの呼吸の剣士。
唯一、無惨を退けることのできた最強の剣士の幻影と、炭治郎の体捌きが重なる。
シャラシャラと鳴る、忌々しいあの耳飾り。
やはり、此奴は先に片付けなくてはならない。
竈門炭治郎。
いちいち、癪に障る。
赫灼の髪に瞳。
私が忌み嫌う色だ。
陽の光に肌が灼かれる痛みも。
床から起き上がれないあの日々も。
あの色に灼かれて消え失せる。
全て、灰に、塵になる。