第72章 乞い願う、光を求めて
縹色は従六位以下の装束。
対して舞山は深緋の衣冠束帯を身に纏っている。
階級としては舞山の方が二つ上の従四位。
とはいえ、舞山の父や従兄弟は左大臣付きの参議や中務省で権中納言など、出世街道を歩んでいる。
それに比べて、生まれつき虚弱であった舞山は内裏に出仕を開始する頃になって、一族から爪弾きにされた。
屋敷を追い出された舞山は、伸し上がるつもりで自ら進んで勉学に勤しみ、遅れを取り戻そうと死に物狂いで書物を読み漁った。
けれども、必死になったのは支えてくれる彼女のためでもあった。
私に就いて来てくれた、ただ一人の使用人。
白藤。
彼女を安心させたい。
私がある程度の地位になれたなら、彼女を自由にしてやりたい。
それが、舞山の望みであった。