第72章 向かう白、揺蕩う藤色
「ここの警邏は俺が全うする。宇髄。すまんが藤姫を見つけたら、こちらへ連れてきて欲しい」
「白藤を?」
「あぁ。あまね様と御館様は残念だが、ひなき様とにちか様はまだ辛うじて息がある」
「そういうことね。了解。と、こっちにもおいでなすったようだが……」
雑魚鬼の大群がこちらへ向かってくる。
「案ずるな。お前が通るための道くらい作ってやる」
こうして見ると、やっぱり親子ってヤツだよなぁ。
「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!」
技の発動と同時に躍り出た炎の虎は、鬼達を瞬く間に消し炭にしていく。
「輝利夜様達の身の安全は俺が全責任を持つ。それと宇髄。頼む、杏寿郎達と無惨を討伐してくれ」
「俺相手にそう畏まって頭なんか下げんなよ。そういう所、あんたら親子は似たもん同士だよな。だから、ちゃんと任されてやるよ」
そう言って、宇髄は風の如く駆けて行った。