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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第72章 向かう白、揺蕩う藤色


「槇寿郎……後は……頼、だ…よ……」


眠りに落ちるように耀哉様はこの世を去っていかれた。


こんなどうしようもない俺に、何を託されるのか……


妻が亡くなり、自らの呼吸の剣術の鍛錬も投げ出して酒に逃げた俺に。


もはやただの不抜けに成り果てた今の俺に。


「よォ、旦那」


音もなく、俺の背後を取れる奴はそう居ない。


「まったく、お前は気の抜けない輩だよ。……宇髄天元、一つ頼まれてくれるか」

「あぁ、構わねぇよ。貸しは息子に払ってもらうからな」


刀を握り、深く息を吸う。

戦いに身を置くのは、果たしていつぶりだろうか。


「そうか……いや、これに関しては俺がしっかり片を付ける……」

「そうかい。そりゃあ、頼もしいな」


一戦から退いた筈の男の割には迫力がある。

槇寿郎はまさしく、元柱の顔をしていた。

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