第72章 向かう白、揺蕩う藤色
「御館様!」
「槇、寿郎……」
先程の爆発で、御館様、ひなき様とにちか様が危うい状態である。
「あまね、は……?」
「あまね様は……今は、眠っておられます……」
見るも無惨な有様だった。
あまね様はそばに居た、娘二人を庇ったのだろう。
髪も着物も焼けて、皮膚も爛れていた。
「相変わらず、嘘が下手だね。槇寿郎……」
まったく、貴方はどうしてこんなにも、聡いのだ。
気づかない方が、いい事だってあるだろうに……
「あまね様は、一足早く、身罷られました」
俺の声は、みっともないくらいに震えているのに。
「………そうか」
あなたは静かに、ゆっくりと呼吸するように頷いて……