第75章 折れない心
「義勇、これは私が白藤から預かっていた手紙だ。不思議な事にあの爆発に巻き込まれることなく、君に今届ける事が出来る事こそが奇跡だ」
耀哉がそう言って冨岡に手紙を手渡す。
カサ。
懐紙を広げると、藤の花の香りがした。
彼女の香りだ。
『義勇さん
私の身勝手な願いを書きます事をお許し下さい。
鬼との最終戦。
もしも私が敵の手の内に堕ちるようならば、貴方に頸を斬って欲しい。
貴方の腕の中で安らかに眠りたい。
死にたくない。貴方と共に生きたい。
でも、私は長く生きすぎていて。
もう、この体が持たないのです。
ごめんなさい、ごめんなさい。
貴方を遺してしまう。
背負わせてしまう。
ごめんなさい。
貴方は貴方の為に生きて下さい。
私の事は 覚えていなくてもいい。
願わくは、来世では共にーー』
「義勇?」
「白藤……」
進もう、前へ。
彼女がそう望んで居るのならば。
目指す先は、共に歩む未来へ託してーー
ーバッドエンド① 完結ー