第75章 折れない心
「嫌だ……俺には…出来な…」
「逃げんじゃねぇ!!白藤が腹括って自分からお前に頼んでるじゃねェか……!!」
不死川が冨岡の胸ぐらを掴みあげる。
「……不死川には、分からない……」
「あぁ。分かんねぇよ!!覚悟をしっかり声に出せねぇような甘ちゃん野郎の気持ちなんてなぁ!!」
ああ。
辺りが明るくなってきた。
このまま、ここに居れば、陽光で滅ぶ事が出来るだろうか。
無限城が陽光で照らされ、少しづつ塵になっていく。
それが良いかもしれない。
そうすれば、誰の心も傷つかない。
私はいつも、誰かを傷付けてばかりいる。
ならば、せめて最後の一人くらいは……
「白藤……」
私の内から声がする。
病弱で寂しがり屋で優しい。
かつての白藤の主であった、舞山の声だ。