第75章 折れない心
「……お願いが、あります」
「どうした?」
すぐに俯いてしまい、彼女の表情が見えない。
「……私の頸を斬ってください」
「………な、にを……」
さしもの冨岡も困惑する。
「鬼の始祖である鬼舞辻無惨を取り込んだ今、私自身が貴方がた、鬼殺隊の一番の宿敵です。
それに……怖いんです。血鬼術を長時間使い続けて私は飢餓状態。
先程の様に我を忘れ、皆様の血肉を喰らうような獣(けだもの)になりたくない……」
「…………」
彼女の気持ちが分からない訳では無い。
だが………
「斬ってやれよ」
「不死川……」
「テメェの恋人なんだろ?相手の思う通りにしてやれや……」
そうだ。
不死川の判断は間違っていない。
彼女もそう望んでいる……
「……だ」
情けない。
声が震える。