第71章 咲くは朱なれど散るは白
「いつかは目ぇ覚ますって!!」
バンと背中を叩かれる。
「痛い……」
「アイツが待ってんのはお前なんだから、近くにいてやれよ?」
「あぁ、分かってる……」
「宇髄さん、ちょっと良いですか」
「胡蝶」
冨岡を見送ってから胡蝶に呼び止められた。
「実際のところどうなんだ?白藤は目を覚ますのか?」
「分かりません。でも灰にならないので、恐らく生きているのでしょう……」
「お前は、良いのか?」
「何を……」
「冨岡に伝えなくても、後悔しないか?」
「……勝ち目がないのに?」
「口にしなきゃ、伝わらない……冨岡の野郎は特に鈍いからな……」
「貴方は、鋭すぎますよ……」
結局、十年経った今でも、彼女は今も眠り続けている。
藤の花が咲くのを見る度にお前の事を思い出す。
「俺が不甲斐ないから、怒っているのか?」
鬼殺隊が解隊された後、白藤は冨岡の屋敷に運ばれたが依然として変化はなく……
ただ、彼女によって救われた者達は折を見て冨岡の屋敷に顔を出す様になった。
冨岡もいつしか独りでは、なくなっていた。
ー完ー