第75章 折れない心
『お前の渇きは私が抑える』
その言葉通り、渇きが収まった。
「日の呼吸……」
不味い。
炭治郎の次の攻撃が……
「惑血 視覚夢幻の香」
珠世の技のお陰で鼻のいい炭治郎の注意が逸れた。
炭治郎の視覚は花の幻影に囲まれている筈。
どうにか炭治郎の注意を引きつけなければ、柱達の命に関わる……
「魅了」
この術を使ったのは久しぶりだ。
元々は相手に取り入るための術だった。
それが今代の柱達は不要だといい、そのままの自分もを受け入れてくれる恋人もできた。
これだけ恵まれていて。
自分が鬼だと忘れてしまう程に。
鬼だからこそ、他人を騙す。
鬼だからこそ、嘘をつく。
鬼だからこそ、生を食らう。
それが当たり前だ。
ずっと、そうだった。
炭治郎君、今君の目には誰が写ってる?
嘘つきな私の、血鬼術で貴方は誰の夢を見るのだろうか。