第75章 折れない心
捌き切れるかは、もはや賭けだった。
とにかく無我夢中で刀を振るった。
立っていられるのが、おかしいと思う程、刀を振るい続けていた。
いや恐らく何度も負傷していた。
腕が飛んでも、脚が千切れようと、体の反射のみで炭治郎の筋を読み技を捌き続ける。
心底、凪がいなしの技で良かったと痛感するほどだ。
「目を覚ませ、炭治郎!!柱稽古の時に俺を奮い立たせたお前は、一体何処へ行ったんだ!!」
「そうだぜ、竈門!俺とお前ら三人で遊郭で上弦を倒した時も!!」
冨岡の技が途切れる瞬間に宇髄が割り込む。
「無限列車で腹を刺されながらも、乗客を懸命に助けようとした時も!!」
宇髄の次は煉獄が。
「刀鍛冶の里で、妹よりも里の者を優先した事も!!」
煉獄の後は甘露寺が。
「皆、貴方の決断で動いたんです!」
甘露寺の後は胡蝶が。
「どの戦いも生き抜いた!」
胡蝶の後は時透が。
「お前が俺たちにとっての『希望』だった!」
時透の後は善逸が。