第75章 折れない心
「蘆屋道満……」
「珠世様?」
愈史郎はこんなにも怒りを顕にした珠世を目にしたことは無い。
「私の復讐を台無しにした挙句、新たな鬼まで…」
「炭治郎君!!」
「白藤さん!!危ないです、下がって!!」
珠世の制止を振り切り、走り出す白藤。
「貴方は鬼殺隊員でしょう?鬼を殺しても、鬼になってはいけない……戻ってきてください……」
「白藤!!どけっ!!」
不死川が炭治郎と白藤の間に滑り込む。
「俺や玄弥に偉そうなこと言ってやがったくせによォ、妹を助けるんだろ!!お前そんなんで、本当に長男かよ!!」
「ぐっ……」
呻(うめ)き声のような、くぐもった声がする。
「禰󠄀豆子……」
「そうだ。禰󠄀豆子を助けるんだろう?お前まで鬼になっては意味が無いだろう!!」
「義勇さん……」