第71章 向かう白、揺蕩う藤色
「それにしても、この目玉って一匹だけなのかしら?」
「甘露寺……」
「ねぇ、伊黒さ……」
「そこから離れろ、甘露寺!!」
ぶわっと大量の目玉が甘露寺の背後からこちらに迫ってくる。
さすがに大群となって出てきた目玉を見て甘露寺の顔がみるみる青ざめていく。
「ひっ!!」
甘露寺が走り出したと同時に目玉の移動する速度も上がる。
「いやっ!!来ないで!!恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ!!」
よく撓(しな)る長物の日輪刀を操って、甘露寺は目玉の大群を一掃しようと刀を振るう。
「相変わらず、すげぇな恋柱様の体捌き」
「貴様ら口ではなく手を動かせ!甘露寺、目玉をこっちに引きつけろ!!」
「分かったわ、伊黒さん!お願い!!」
「蛇の呼吸 参ノ型 塒締め!!」
伊黒と甘露寺の合わせ技に隊士達は驚く。
柱ってやっぱ、すげぇ。