第75章 折れない心
「さぁ、温羅よ。その力を解き放て!!」
「ーー!!」
声になりきらない咆哮だけで冨岡を押し返した炭治郎。
まるで半天狗の分身体の様である。
「炭治郎!!」
冨岡が駄目ならばと。
無一郎が炭治郎に向かって行く。
「君があの時思い出させてくれたんだ!!僕が僕で居られるのは『炭治郎』のおかげなんだよ……」
鬼になったばかりの炭治郎は刀を振るうだけで、まだ技を行使していない……
今なら説得出来るかもしれない……
「炭治郎!!俺と伊之助の事も分かんないのかよ!!」
目尻に涙を溜めながら、善逸が炭治郎の間合いに入り込む。
「炭治郎!!お前は俺様の子分だろ!!」
善逸と伊之助が炭治郎の刀を抑え込む。
「お前、どうしたんだよ!!せっかく無惨がいなくなったのに、炭治郎が鬼になったら、禰󠄀豆子ちゃんはどうするんだよ!!」
「竈門少年!!こっちだ。君のことを皆待っている」
「…………」
「無駄だ。お前達の声は届かない……」