第71章 向かう白、揺蕩う藤色
甘露寺のその発言によって、その場の空気が一瞬だけ静まり返った。
これが、かわいいとは……?
「まぁ、これだけ小さかったら、あんまり脅威にはならないかも……?」
甘露寺がそう言った直後、目玉が通路の壁に彼女の姿を映し出した。
「これって……」
「俺たちの姿が映っている……?」
目玉が見た物を映し出しているのなら、これは相手に自分たちの居場所を知られているのと同様である。
「これは、厄介かも……」
甘露寺が珍しく、眉根を寄せる。
その直後、目玉の映像に彼女の脚が映し出された。
それも、なかなかに際どい角度で、である。
幸いな事に、甘露寺は目を瞑って考えを纏めているようなので、目玉に隊服の内側を映し出されている状況に気付いていないようである。
竹内を含め数名の隊士の固唾を飲んで、視線が壁面に釘付けになったその時、突如として映像が掻き消えた。
「あれ?」
伊黒の日輪刀が目玉を串刺しにしたからである。
無論伊黒の言い訳としては、彼女の下着を他人に見せる訳にはいかないからなのであるが。