第71章 向かう白、揺蕩う藤色
「小さな目玉を操って城内を監視しているんだ」
「目玉?」
本当なのだとしたら、気味の悪い話である。
「あ!見つけた!目玉!!」
愈史郎の近くで行動していた鬼殺隊士が鳴女の操る目玉を見つけた。
「竹内、其奴(そいつ)をこっちに持ってきてくれ!!」
「え!?俺これ掴むの!?嫌だって!!」
「いいから早くしろ!!」
「分かったよ!!気色悪いから渡したらそっちで処分してくれよ!!………うりゃ!!」
蛙を捕まえる要領で竹内は小さな目玉を捕まえると手元を見ないようにしながら、愈史郎に目玉を手渡した。
手渡された足つきの目玉には肆の文字が刻まれている。
間違いなく鬼の血鬼術だろう。
想像以上に不気味な出で立ちの目玉を甘露寺が凝視している。
この手の類(たぐい)を気味悪がるのは仕方がないことと、その場にいた誰もが思っていた。
「………意外に可愛いかも」