第75章 折れない心
「何言ってるんですか?炭治郎は人間です!鬼であるはずがない!!」
でも、あの瞳が、耳飾りが、痣が。
炭治郎なのだと。
理解しがたい現実に愈史郎さえも声を荒らげる。
「答えろ、炭治郎!!」
「白藤。その薬を俺に」
「義勇さん?」
「炭治郎の目を覚まさせる……」
「ですが、それでは義勇さんが……」
「必ず戻る。お前の元へ。それに炭治郎は俺の弟弟子だ。責任は取らなければならない……」
たとえ、炭治郎の命を奪うことになっても。
「義勇さん!!」
その声に炭治郎が反応する。
手に入れたかった、者。
そして、それを阻(はば)む者。
炭治郎はその瞬間、冨岡を敵と認識した。