第75章 折れない心
「………」
炭治郎は答えない。
俺の声、届いてないの?
善逸が呆然としている最中。
「白藤さん。ありがとうございます。大分回復しました」
「ですが、珠世さん…」
「白藤さん。この薬を炭治郎君に……」
「コレは?」
「『鬼を人間に戻すための薬』です。禰󠄀豆子さんの血を元にして、作り出しました。本当は貴方の分にと思っていたのですが……」
「私の分は必要ありません……」
今はとにかく、炭治郎が誰かを殺す前に、正気に戻さなくては……
「珠世様……」
「愈史郎君!」
鳴女が蘆屋道満に変わった際に、愈史郎は瓦礫の下になっていたらしく、今ようやく再生してきたのだろう。
「あの鬼が鬼舞辻無惨ですか?」
「いいえ、あそこに立っている鬼は『炭治郎君』です」
「アレが、炭治郎……?」