第75章 折れない心
パキィン。
硝子が割れるような音が響き、現れた二人を見て周囲が騒(ざわ)めく。
蘆屋道満が復活していることにも驚いたが、次いで出てきた炭治郎の様子が明らかにおかしいのである。
「炭治郎……?」
冨岡さえも声を出すのに戸惑った。
炭治郎の髪が背中まで伸びていて、赤みを増していること。
角こそは生えていないが、口元には牙が見える。
何よりあの特徴的な耳飾り……
炭治郎で間違いない、はずだ。
「気安く声をかけるな、人間。これより竈門炭治郎は私の使役する鬼の王となったのだ。そうだな、名は『温羅(うら)』としようか」
「嘘でしょ……?炭治郎が、鬼……?」
善逸が震える声を振り絞る。
「しっかりしろよ!炭治郎!!何で………何でお前が、鬼になってるんだよっ……!!」