第75章 折れない心
「目前の敵が居なくなった今、お前の欲しいモノは何だ?」
「俺の、欲しい者……」
炭治郎の中に浮かんだのは皆の笑顔。
その中で儚げに笑う白藤。
叶わない恋と知っている。
でも、夢でならと。
彼女を想い、触れたいと恋焦がれ。
「欲しい者が居るのだろう?私が力を貸してやろう……」
「…………」
そう、力だ。
今よりも力があれば、彼女を護れる。
彼女の隣に並べる。
「誇っていいぞ、炭治郎。お前には『才』がある」
『鬼』という名の、『魔』に堕ちる才が。
「さあ、言ってみろ。お前の望みを。さすれば言霊が力を与え、その望みが叶う」
「俺は、力が欲しい。白藤さんを守れるくらい、強くなりたい。」
「叶えてやろう。お前に強さを与える……」
道満が炭治郎の額に刀印を当てる。
「喜べ。今からお前が新たな『鬼の王』だ」