第75章 折れない心
「他の皆は何処だ!?」
「そう騒ぐな。ここは私が作り上げた結界だ。私が術を解かない限り外には出られない」
「何のつもりだ……」
炭治郎が刀を構えるも、道満から戦う意思は感じられない。
「分からないのか?私はたった今、無惨という名の最強の駒を無くしてしまったんだ」
「何が言いたい……」
油断出来ない相手だ。
この男の言葉に惑わされてはいけない。
「私は最強になりたい。だから『最凶』を作り出す必要があるのだ……」
何だ……?
この男の底知れない不気味さは。
無惨よりも濃くて重い、血の匂い。
「『竈門炭治郎』お前のような純粋な者はそう居ない。お前は今目標を見失っているだろう?家族を殺し、妹を苦しめてきた無惨が居なくなった今、お前は何を望む?」
俺の、望み?
確かに。
先程、頸を斬られた無惨は灰になった。
でも、本当にいなくなったのだろうか?
実は周囲に溶け込んでいるだけで、今も誰かを狙っているのかもしれない。