第75章 折れない心
その日から白藤は蘆屋道満に辱められ、いつしか彼女の人格も生活も破綻した。
感情の起伏が無くなり、彼女の食事が『性』に関わるものになってしまった。
焦点の定まらない空洞のような瞳を向けてくる彼女は美しいはずなのに、どこか作り物めいている。
まるで壊れた人形の様だ。
最初の頃は泣き叫び、泣き腫らした顔で行った性行為も、今では一方的な動きしかしない。
私は、心底腹が立った、
元来、変化が嫌いな私にとって、この娘は使い物にならなくなった。
こんな物は要らない。
道満はそのまま白藤を右京区に捨てた。
月の無い深淵の闇夜。
彼女は全てを失った。
朝になれば、そのまま灰になる。
動くことすらなく、地べたに倒れ込んだまま、彼女は目を閉じた。
目が覚めることは無いと思っていた……