第70章 咲くは朱なれど散るは白
「うう……」
ぶんぶんと首を横に振る白藤。
本人の意思があるのかは分からないが、嗚咽混じりに涙を流す白藤を見て、彼女も必死に抗っているのだとその場にいる皆が感じた。
「う、が……」
「炭治郎……?」
額の痣が濃くなり、広がった炭治郎。
鬼化した白藤に片腕を噛まれて今にも倒れそうなのを必死で堪える。
「炭治郎!!」
「カナヲちゃん!?」
カナヲちゃんが炭治郎に背後から抱きついた。
「鬼になっちゃダメ!!」
必死の頼みに炭治郎の思考も止まる。
『俺、は……』
炭治郎もまた思考の中にいた。