第74章 誰がために…
不死川が切り込む前に滑り込んで来た影。
「蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇!!」
伊黒の間合いなら確かに届くかもしれねぇ、だが……
何なんだこの嫌な感じは……
不死川は何かの気配を察していた。
正面から以外にも視線を感じる。
何かに見られている……
不死川が元凶を特定できないでいる内に黒い靄が不死川と伊黒の視界を遮った。
「伊黒様!不死川様!離れて下さい!!」
何かを察し、白藤が反射的に声を荒げた。
「遅い!」
呪符を投げつけようとした蘆屋道満の目前にいたのは伊黒。
しまった、この距離では避けきれない。
紙切れとはいえ陰陽師が用意したとなれば、それはたちまち力を持つ呪具へと変貌するのだ。
「伊黒さんには触らせない!!」
ギュンッ。
これ以上ない程に刀をしならせ、甘露寺が躍り出る。
ー了ー