第74章 誰がために…
宇髄の動きを、それこそ身動ぎ一つ取りこぼさずまいと不死川が己が刀に手を伸ばし、臨戦態勢に入る。
「シィーー、風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐!!」
奇襲というより、足元を崩すために発動させた技である。
巻き上がる風が蘆屋道満を目掛けて近付くほどに威力を増していく。
おー、今日のはいつになくえげつねぇ威力になりそうだと宇髄は心の内で笑う。
それでこそ、勝機を見いだせる可能性が上がるってもんよ。
突如巻き起こった突風に、柱以下の炭治郎を中心とした数名は目を開けるのにも苦労した。
威力もさることながら、不死川の身のこなしも相まって嵐の中を天狗が飛んでいるような錯覚にさえ陥る。
それに畳み掛けるように宇髄が爆薬を放る。
「音の呼吸 壱ノ型 轟!!」
不死川の体を爆炎で隠すのが目的だが、微量の藤の毒も含ませている。
鬼以外にも有効かは不明だが、この際だ。
講じられる手段は手当り次第でも試してみる価値はあるだろう。