第74章 誰がために…
彼と同様に周囲を気にしていたのは、先の上弦の壱との戦いで負傷を負った不死川だった。
とはいえ、その負傷も白藤の術式によって回復している。
攻めいるには二人で事足りるか?
道満を警戒しながらも宇髄の思考は計算を開始していく。
なんにせよ、膠着(こうちゃく)状態を打開するには何か突破口となるものが必要だ。
この場で一番予測できない想定外の存在は……
戦力で言えば嘴平か。
柱ではないにせよ、彼の活躍はどんな行動であれ目を引くのだ。
それにあの胡蝶の姉を殺した鬼、上弦の弐である童磨を相手に伊之助は見事に勝ち星を上げたのだ。
可能性にかけるっきゃねぇか……