第74章 誰がために…
「白藤」
「宇髄様?」
「お前と鬼舞辻、あとそこの蘆屋道満だったか?どんな因縁かは知らねえが、お前にとっての敵はどっちだ?」
宇髄の言っている言葉の意図するところは、白藤の言質にかかっているということだ。
「私にとっての敵は鬼舞辻無惨に非(あら)ず。蘆屋道満、稀代の陰陽師の二柱と謳われたあの男です」
「二柱?」
炭治郎がその言葉に引っ掛かりを覚えて反芻(はんすう)した。
「平安時代の陰陽師といやぁ、安倍晴明だろ?」
「その名を出すな………」
先程までとは比べ物にならないほど、ドスの効いた
声と鋭い視線に並々ならぬ執着を感じる。
「安倍晴明は当代随一と言われた陰陽師です。その名声は京の都のみならず、はるか西方の菅生の郷にも……」
「違う!菅生の郷の陰陽師は私と同じ六芒星の籠目を使う!あの化け狐の名のついた五芒星など……我らの足元にすら及ばない……」