第74章 誰がために…
「てゆーか、あそこに居るのが無惨?てか二人いるのは何で?分身?」
「いや、あれは……」
炭治郎が善逸に状況を説明する。
「ふーん。ん?じゃあ結局悪いのはどっちなわけ?」
確かに。
「そもそも白い髪の無惨を鬼に変えたのが蘆屋道満なら、黒い髪の無惨を倒せば何か分かるかもしれないてこと?」
「へぇ、珍しく冴えてるじゃねぇか、我妻」
「宇髄さんに言われても嬉しくないし!」
「ギャーギャーと煩い羽虫だな」
「いけません、善逸君!」
今彼が致命傷を受けたら回復は見込めない。
私が発動させている藤の加護は、私と交合したことのある者にだけ有効なのである。
つまりはこの場にいる男性の柱と炭治郎は術式内の加護を受けられるが、善逸と伊之助は範囲外である。
因みに、本来であれば除外対象である女性の柱二名に対しては以前に不治露を施しているので、回復対象である。
ただ…
柱以外で私と交合したことがある者は炭治郎一人。
この状況下でどこまで守り切れるか分からない。
まして、敵は数千年を生きたであろう術師だ。
蘆屋道満ーー……