第74章 誰がために…
九人の柱に日の呼吸を扱う炭治郎。
戦い方次第で何かが変わるかもしれない。
淡い期待を抱きながら辺りを見回す。
「遅くなりました」
宇髄が言っていた通り、胡蝶が駆けつける。
「我妻は?」
宇髄の問いにそのまま胡蝶が答えようと口を開く。
「ちゃんと来ていますよ」
「うぅっ、戦うのやだよー……」
泣きべそをかきながら、胡蝶の傍らから出てくるのが恒例すぎて不謹慎にも笑いそうになった。
「善逸、無事で良かった」
「炭治郎も生きてて良かったよ……戦いたくは無いけど……」
「お前は地味に耳が良いからな、俺は頼りにしてるぜ?」
「宇髄さんに言われても嬉しくないっつーの!!」
宇髄に当たり散らしながらも、攻撃態勢を整える善逸。
遊郭で戦った時のことを思い出す。
そんなに時は経っていないのに、もうずっと昔のことのようだ。