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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第74章 誰がために…


ほんの少しだけ彼の耳が赤いのは気の所為だろうか。

だが、そのやり取りも直ぐにご破算になる。



「よくも……よくもよくもよくも!!」



人と言うよりも怨霊かなにかの類(たぐい)のような雄叫(おたけ)びをあげながら、蘆屋道満は血の滴(したた)る右腕を使い、指を揃えて刀印を作る。


「ナウマクサンマンダ……」


道満が呪文を唱え始めると、宇髄が双刀を操り、詠唱の邪魔に入る。


「良くは知らねぇが!昔の術師の呪文は言わせなくすりゃこっちのもんだ!!」




彼の言うことは正しい。

殊更(ことさら)、陰陽師という術師は唱える言葉にすら力を与える『言霊(ことだま)』という特殊な力を有している。

力のある者が生き残るとされたあの時代で、その名を轟かせた二人の術師。

その内、一人が今目の前にいる播磨(はりま)の蘆屋道満。

そうして、もう1人が十二神将を従えたとされる安倍晴明……



この場に彼がいれば立場的にもこちらが有利であったはず……

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