第74章 誰がために…
「義勇、さん?」
道満の腕から白藤を取り返し、飛び退る。
冨岡の見事な立ち回りに宇髄すら感心した程である。
助け出された白藤だが、冨岡から漂う異質さに戸惑ってしまう。
普段の彼とは違う。
無機質な。
人でなくなったのではないかと思うほどに……
「白藤。前に出るな」
心に刺さるようなその言葉に。
先程、道満に捕まったからだと思った白藤は一瞬言葉に詰まり、謝罪を口にした。
「ーーすみません……」
やはり、私が前に出ては足手まといに……
「違う。……間合いに居らては、俺は、お前まで傷付けてしまう……」
「………義…勇さ///」
「おー、おー、仲がいいのは結構だが、そういうのは終わってからのがいいと思うぜ?」
宇髄の台詞にハッとする白藤。
「……」
何か言いたそうな表情のまま冨岡が踵(きびす)を返す。