第74章 誰がために…
殺された数だけ、殺してきた。
知っているさ。
鬼も元々は人だったと。
だが鬼になってしまった者を生かしておく道理は無い。
例外は無いと思っていたんだ。
炭治郎と禰豆子に会うまでは。
それに、白藤……
彼女は俺に沢山の感情を向けてくれた。
彼女が鬼など、考えたくないほどに。
好きだ、愛している。
こんな感情を。
家族以外に抱くことは無いと、思っていた。
彼女は俺にとって、大切な存在だ。
根無し草のように、ただその日をやり過ごすだけの日々を送っていた俺に……
蔦子姉さんを守れなかった俺に。
希望をくれた。
愛してくれた。
想いも身体も溶け合う様に。
だから、彼女を護る。
俺が今、持ちうる全ての力で。