第74章 誰がために…

歪んだ笑みを貼り付けた道満を前にして、冨岡は思った。

鬼舞辻と白藤が知り合いだったにせよ、この男が元凶ならば……

鬼でなくとも、斬らねばならないかもしれない。

鬼を斬ることに躊躇はなかった。

鬼殺隊に入隊している者の大半が鬼に身内を殺されているのだから。



鬼は『人を喰らう』

鬼は『平気で嘘をつく』

鬼は『平穏を崩す存在だ』



そう、信じて。

鬼を斬り捨ててきた。



鬼は俺から全てを奪ったからだ。



家族を。

親友を。

同士達を。