第74章 誰がために…
「白藤!!」
これ以上、蘆屋道満を刺激してはいけないと思った冨岡は彼女の横に並ぼうと体を翻(ひるがえ)そうとした。
「義勇さん。それ以上、動いてはなりません」
「白藤、何を!!」
このままでは彼女の身が危ういと冨岡は懸念する。
「この男が使うのは陰陽の術。たとえ柱とて無駄な動きをすれば術中に嵌(はま)ります」
冨岡の思考を読んでいるのかというくらい、白藤の言葉は信憑性を帯びている。
陰陽師……
「陰陽師ってずっと昔の人じゃないですか。なんで大正の今此処に居るんですか!?」
炭治郎が最もな疑問を口にする。
「そう、普通ならば生きている筈がない。ならば貴様も鬼に、外道に堕ちたのだろう?」
「調子に乗るなよ、小娘風情が!!この道摩法師に向かって外道など……」
「道摩、法師?」
無惨もまたその通り名に聞き覚えがあった。
何故だ?
一体、私は何者なのだ?
鬼の始祖とは?
思考の渦に囚われたのは、無惨も同じであった。