第74章 誰がために…
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何かがおかしい。
仮に、今目の前にいる鬼舞辻無惨が、白藤が仕えていたかつての産屋敷舞山であるならば、屋敷に置いていかれたはずの私は誰に生かされてきたのか。
あの屋敷にいたのは舞山様と女房の私だけ。
往診に来られる薬師様以外に知り合いなど…ーー
黒い影が白藤脳裏に靄をかける。
息をするだけで胸を刺されるような、冷たく鋭い空気。
何だろう?
この違和感は。
人の頃のように心音が五月蝿い。
鬼殺隊に身を置くより前に、誰かと……
「白藤?」
「義勇さん……」
「呼びかけても、反応しないから心配した」
「すみません……」