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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第74章 誰がために…


輝利哉が思案する一方で、白藤もまた思考の波に飲まれていた。

その声音に、聞き覚えがあったからだ。
故に、体が金縛りにあったが如く、身動きが出来なくなってしまった。

胸の奥がツキりと痛む。

それと同時に、溢れ出してきた。

忘れていた記憶と過去。

耀哉の力が弱まり、白藤の縛りが緩んだことも影響している。

巌勝の時と同じだ。

想いを寄せていた。

あの頃に帰りたいと、希(こいねが)い、瞼(まぶた)を閉じて眠りについた夜を。

別れが悲しくて、苦しくて……

それから、ぽっかりと中身の抜けたようになった自身のことを。

ただ、その記憶が正しいのか、判断すべき材料が彼女には足りない気がしてならなかったのだ。

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