第74章 誰がために…
一方で、鬼殺隊の指揮を執る輝利哉は微(かす)かな不安を拭(ぬぐ)えずにいた。
無惨が復活するかもしれない。
その予感を信じ、無惨の肉塊の近くにいる隊士達に伝令を出すも、攻撃をしかけに行った隊士、並びに付近に控えていた隊士達が無惨の凶刃の前に倒れる。
惨殺した隊士達の血肉を喰らい、無惨は復活した。
だが、その姿は以前の無惨の容貌ではなかった。
短く黒かった髪は長い白髪に、衣装は身に纏わず、上半身は裸。下半身は血を塗り固めたようなどす黒い何かに覆われている。
復活した無惨は珠代を取り込もうと、惨たらしく彼女の体を傷付けていく。
ボロボロと彼女の肉片が零れ落ちていく。
炭治郎と煉獄の二人が遠目から無惨を目撃する。
珠世に対して残忍な行いをする無惨に怒りを募らせる炭治郎を煉獄が宥め、ゆっくりと歩みを進めていく。