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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ


ブン、ブン。

無惨は包丁を振り回した。

ヒュ、か。

薬師の体を斬りつけ、右手の小指を斬り落とした。

悲鳴が上がり、指から血が滴り出す。

それを見て無惨の興奮が高まっていく。

薬師自体が自分にとっての捕食対象のように。

まるで目の前に誂えられた膳のようだ。

今、飢えている私にとって、この者は格好の餌だ。

この者の血を、肉を、貪って、全てを終わらせよう。

この者は私から白藤を奪った罪深き者なのだから。

薬師は襲いかかってくる舞山に恐怖する。

先程から何を言っているのだ。

白藤が何処に居るかなんて知らない。

ここには居ないし、事情も分からない。

血走った眼と、先程からとがり始めた爪。

人とは思えぬ変化に。

「化け、物……妖か?鬼か?」

化け物?

この私が?

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