第14章 好きって何ですか?$(冨岡裏)
「近世の御館様は私を自由にしてくださいますが、御館様によっては屋敷に錠をかけ、私を鎖に繋いで、外に出さないことも、ままありました」
非道い。
いくら何でも……
「それでも辛いと思ったことはありませんでした。私は人の性を喰らうことでしか息長らえないから…」
「でも、そんなのって…」
「利害の一致です」
瞬間、彼女の纏う雰囲気が変わった。
身震いするような凍てつくような視線。
「私は鬼殺隊から定期的に食事をさせてもらえる。隊士も気兼ね無く溜まった欲を清算できる。馬鹿らしい。結局利用しあってるだけなのに…」
「俺は、白藤さんのこと何も知りませんけど…一緒に任務に参加していてくれた白藤さんが感情が薄いなんて思いません」
炭治郎は必死に言葉にする。
感謝を伝えるために。
「白藤さんは俺たちを助けてくれた。たとえ、とっさの反応だったかもしれない。でも、少なくとも俺は何も感じない人が人を守るなんてないと思います」
その時、彼女の瞳は切な気に揺れていた。