第14章 好きって何ですか?$(冨岡裏)
「私は元々感情が薄いのかもしれません」
彼女は淡々と話し始めた。
「いつ鬼になったのかも、いつからここに居たのかも私は思い出せないのです」
「え?」
それって………
「いつ頃までか最初の記憶がすっぽりと抜け落ちていて…」
目を伏せる白藤が炭治郎には寂しそうに見えた。
「少なくとも世が戦国と呼ばれていた頃にはここにおりました。人としては数え切れない年月を重ねてきたのです…」
彼女の言葉からは一切感情が伝わってこない。
意識的にそうしているかは分からないが、この人は虚無感に苛まれているのだろう。
「白藤さんには家族もいなかったんですか?」
「さぁ、どうでしょう?私は産屋敷の方々から名を呼ばれるまでは慰み者と呼ばれていましたから…」
「そんな…」
「半人半鬼といえど、化け物に違いありませんもの。仕方の無い事です……」