第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ
どうしよう。
俺のせいだ。
今回も、無限列車の時も……
俺は………
ズシャッ。
「え?」
思考の波に打ちひしがれていた炭治郎は何が起きたのか、はっきりとは知覚できなかったが、いつの間にか煉獄の腕は元通りになっていて。
代わりに白藤の左腕が床に転がっていた。
と、言うことは、白藤さんが俺たちの傷を肩代わりしているということだ。
「君は下がっていなさい」
煉獄さんの言う通りだ。
俺なんかじゃ、まだ歯が立たない。
技量が足りない。
炭治郎の腕に、力が入る。
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一方で白藤は腕を拾い上げ、接合を試みる。
タネが分かったとしても、この術を止めるには白藤の首を斬らぬことには解除出来ない。
そんな状態の彼女に、これ以上負担をかけるなど……
「炭治郎君……」
何で、来ちゃうんですか?
白藤さん。
「その人は私が治します」
どうして。