第14章 好きって何ですか?$(冨岡裏)
「………」
「まあ、よく考えてみりゃあ良いさ。俺は行くわ。次の任務もあるしな」
「あ、お気をつけて…」
手を振り、颯爽と駆けてゆく。
やはり、元忍はだてでは無い。
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藤の花屋敷に珍しく炭治郎が療養にやって来た。
「あ、白藤さんが預かってらしたんですね」
冨岡の羽織を見つめる炭治郎。
「はい、どうかなさいましたか?」
「いえ…」
まさか、あの特徴的な羽織を着てない冨岡があんなに探し辛いものだったとは……とは言えない。
冨岡さんの匂いはすれど視認出来ない状態になるとは。
情けない。
精進しなければ。
「炭治郎君」
「はい!」
白藤さんが話しかけてくれた。
炭治郎の無邪気な笑顔を前にして。
「炭治郎君は人を好きになったことはありますか?」
「えっ!?」
何と答えていいものか……
言いあぐねていると。
「実は今朝…」
事の発端であった宇髄とのやり取りを炭治郎へ話す。
俺はこの話を聞いて良かったんだろうか?