第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ
服装は鬼殺隊のものだが。
いつの間にか鳴女に近付いた愈史郎が彼女の視界を上書きしたのだ。
「お前は……」
「俺は愈史郎。珠世様に鬼にして頂いた半端者だ!!だが無惨!お前は俺にとって一番大事な珠世様を傷付けた。後悔して跪け!!」
何だ?
城全体が揺れてる……
いや、撓んでる!?
「今からお前を、地上へ叩き出してやる!!」
「一体どういうことだ!?」
宇髄が伊之助を抱えて走る。
足場が崩落仕掛けている……
あの鬼の血鬼術のバランスが崩れたからか!?
そしてその崩壊は城の至る所で起き始める。
ガラガラガラ……
「きゃっ……」
足を滑らせてしまった白藤を冨岡が支える。
「白藤!!」
「義勇さん、ありがとうございます」
「気をつけろ」
「はい」