第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ
辿れ、旋律を。
走れ、愚直に。
目指す先にある、その鬼の喉元に刃を突き立て、討ち捕れ。
この戦いで全て終わる。
琵琶の鬼を無力化したら、次は無惨だ。
上弦の鬼は、もう居ないはず。
だからこそ……
「うおぉぉぉっ!!」
伊之助を中心にして三人もそれぞれ技を放つ。
「恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ!!」
「蛇の呼吸 壱ノ型 委蛇斬り!!」
「音の呼吸 壱ノ型 轟!!」
三方から足場を崩す。
これで琵琶の鬼が進めるのは後ろのみ。
仕留められる。
このまま!
相手は毒で弱体化しているはず。
ほら、みろ。
指が弦を押さえていられなくなってやがる。
よし、あとはあの鬼の頸を!!
ん?
ガシッ。
琵琶の鬼の後ろに居るのは、誰だ?