第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ
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「お、目覚めたか?我妻」
視界に入ったこのツヤサラ髪。
「えっと、村田さん?」
「おお。良かった」
「負傷者はこちらへ連れて来て下さい」
「え?胡蝶様!?何で!?」
胡蝶が負傷者を集め、治療しているのを見て善逸は困惑する。
「この戦いでは、残念ながら私はもう戦力外です。鬼に効くと思われる毒はある方に預けましたから、私はここで負傷者の救護にあたります。白藤さんにばかり、負担はかけられませんからね」
毒を預けた?
誰に。
「さ、善逸君。罅割れの成分を調べますよ。動かないで下さいね」
「え?え?ちょっと……」
ベリっ!!
「痛ぁぁぁいっ!!」
「うわっ!?」
こうして、善逸の声(汚い高音)は無限城に響き渡った。