第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ
「宇髄、貴様どこから……甘露寺を離せ」
「なんだよ、助けてやったじゃねぇか。心が狭いとモテねぇぞ」
ほらよと甘露寺の尻を一度叩いてから下ろす宇髄に伊黒が目を光らせる。
「ひゃん!もう、宇髄さん!」
「減るもんじゃねぇだろ?」
「はぁ?」
危うく喧嘩が始まりそうになっていた所に。
「ガーハッハッハッ!!」
バリバリバリバリ!!
無限城の襖や通路をぶち破りながらやって来た彼によってその場の空気が変わった。
「俺様、復活!!」
「おー、相変わらず派手な登場だな、嘴平」
「祭りの神じゃねぇか!今度はどいつブッ倒せばいいんだァ?」
気合い充分といった伊之助に宇髄は鳴女を指差す。
「今まで好き勝手俺たちを遠ざけたアイツだ」
「あの気色悪ぃ音出せなくすりゃいいのか?」
「ま、そんなとこだな。とりあえず……」
「うっしゃー、行くぜ!!」
「おい、嘴平!!」
言うなり駆け出して行った伊之助を宇髄も追う。