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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ


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キョロキョロと辺りを見回す。

「どうした、竈門少年」

「あ、すいません。今、善逸の声が聞こえた気がして……」

「我妻少年か?」

柱稽古でようやく名前を覚えたらしい。

黄色い少年呼びではなくなった。

「それはまぁ、いいとして。煉獄さん、どっちに向かいますか?」

「そうだな、猗窩座と戦ってから雑魚鬼にしか遭わない所を見るに、敵も数が減って来たのだろう。出来れば無惨のいる場所へ向かいたいが……君の鼻はどんな感じだ?」

「この城はどこも血の匂いがしていて……でも、多分……匂いが強いのは向こうだと思います」

炭治郎が指を指したのは無限城の中心部と思われる北東の方向。

「敵は鬼門にあり、か」

「そう、だと思います」

「どうした?歯切れが悪いな。竈門少年」

「なんと言うか、漠然と。とにかく害のあるものがこの先に居る……と思います」

「ふむ。君の五感は優れているからな。俺は君の気になる方へ行く」

「煉獄さん、良いんですか?」

「元より一度死にかけたんだ。どうせ死ぬにしても、少しでも前に進むさ」

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