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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第72章 邂逅、別離


巌勝の頸をかき抱いて白藤は涙を流す。

「………泣くな」

「無理を、言わないで下さい……」

「俺は、痣者だ。どうあったとしても、お前よりも早くあの世へ逝く……」

「存じておりました。でも、何故……」

分かっている。

たらればを口にしたとしても、彼の現状は変わらない。

今ここにいる巌勝は黒死牟として、鬼狩りに頸を斬られたのだから。

こうして言葉を交わせるのも、残りわずか。

「お前は変わらない、な……」

「いいえ。変わりました……。沢山……。いつか……貴方に、会えたなら、いっぱい話を……」

涙で前が見えない。

巌勝の顔が、歪んで、いく。

「そう、か……あの頃とは……違う、か?」

「………はい。だから、私は、貴方を赦しません。勝手に鬼になった貴方を、忘れません、から……」

「…………相変わらず、頑固だな。白藤……」

「巌勝、様……巌勝様……貴方は馬鹿です。私の名など……忘れていれば………」

「お前も、だろう……?白藤……」

嘆かわしい。

もう、この娘の肩を抱いてやることも出来ない。

「赦して、くれるな……俺も、お前を、忘れない……」

まるで桜の花弁のように、

巌勝の頸は、泣き別れとなった体と共に消え去った。

「巌、勝様……」

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