第72章 邂逅、別離
「そんなこと……」
「躊躇ってる余裕なんか無い!この状況見てて分かるだろ?玄弥、頼む」
玄弥の脳裏に炭治郎の声がする。
『一番弱い人が一番可能性を持ってるんだよ』
炭治郎。
『敵が警戒できる絶対数は決まってるんだよ。
だからあとはそれを敵がどう割り振ってるかなんだ。
敵は強い人をより警戒していて壁が厚いけど、弱いと思われている人間であれば、警戒の壁が薄いんだよ。
だからその弱い人が予想外の動きで壁を打ち破れたら、一気に風向きが変わる。勝利への活路が開く』
お前はすげえよ。
この局面になって気がついたんだ。
お前の言っていた事は、きっと本当なんだ。
あとは俺がそれをやれるかどうかにかかっているんだ。
ダメだ、迷うな、俺。
こんなにボロボロな時透が時間を稼ぐと言っているんだ。
俺だって………
やれることをやるんだ。
「分かった」
やるんだ、動け、俺の体。