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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第72章 邂逅、別離


「ご武運を」

「はい。ちょっと行ってきます。待ってて下さい」

少しぎこちない、だが、明るい声音で白藤に返事をしてから玄弥は黒死牟の元へ向かった。

男性陣が戦っている。

この時ほど、自身が非力なのを痛感する白藤である。

もどかしい。

だからせめて、この術で少しでも彼らの傷を癒し、戦いに専念できるよう、力を尽くそう。

たとえそれが、私にとっての諸刃の剣だろうとも。

「義勇さん……」

誰もこの戦いで命を落とすことが無いように。

ギュッと握りしめた拳を胸に当てる。

大丈夫。

何があっても私が皆を守る。

この術が、彼らを救ってくれるはずだ。

だから、大丈夫。

この戦いを乗り越えて、無惨を………

あれ?

無、惨?

どこかで聞いたことがあるような……



『お兄様』


『お前は私の自慢の女房だよ』



脳裏に霞む人影。

ハッキリとした全容の見えない姿だが、何か気になる。

この人は、誰……?

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