第72章 邂逅、別離
「月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦」
「チィっ!!」
距離を取られた。
くそ、さすが上弦、不意をつくのが上手い。
冨岡の野郎は……
何とか躱しきったのか。
畜生、痛みには強い方なんだがな……
掠っただけの二の腕と、頬の傷がジクジクと痛む。
不死川は戦況を鑑みて、戦力を分析する。
相手は上弦最強の鬼。
首を斬ろうにも、黒死牟の技は、遠距離型。
しかも無数に刃が飛んでくる。
口惜しいが俺の風だけでは決定打に欠ける。
時透の霞も同様だ。
残るは岩と水。
冨岡が戻って来るまで防御に徹するべきか……
チッ、結局。
あの野郎の技を期待しちまう。