第72章 邂逅、別離
何とかしてこの手を、振りほどかなくては。
玄弥はそう、強く願った。
そうでなければ、この戦闘に参加している意味が無いと言われている気がしたからだ。
『俺に弟は居ねェ』
兄貴、ゴメン。
『人殺し!!』
酷いこと言ってゴメン。
あの日、冷たくなった母さんを抱えてる兄貴がすごく恐ろしく見えたんだ。
ずっと謝りたかった。
だから、兄貴の背中を追いかけて来た。
突っぱねられて、殴られて……
でも、俺の中での兄ちゃんはずっと昔のままで。
だからさ、昔みたいに
『玄弥』
って、呼んでもらえるのを、ずっと待ってる。
虫がよすぎるかな、また怒鳴られるかもしれない。
でも、兄貴は口が悪いだけで、本当は俺を俺たちを危険に巻き込まないようにしてくれたんだって気付いたから。
俺も、兄貴の力になりたい。
って、思ったんだ。