第72章 邂逅、別離
あとは、悲鳴嶼さんに託す。
「岩の呼吸 肆ノ型 流紋岩・速征!!」
鉄球が唸り、鎖が縦横無尽に駆け巡る。
「ほう。なかなかの連携だな。だが……」
前に進めぬなら、後ろに数歩下がれば……
「霞の呼吸 漆ノ型 朧!!」
背後に回っていたのか……
冨岡の日輪刀が黒死牟の刀の一部を切り落とす。
その切っ先が不死川の風で玄弥の元に届いた。
これが上弦の壱の刀の一部。
禍々(まがまが)しい肉塊(にくかい)の付いた切っ先に視線を向ける。
喰えば、段違いの力を授かるだろう。
が、普段の鬼喰いよりも躊躇(ちゅうちょ)してしまうのは力の反動だ。