第72章 邂逅、別離
強過ぎる力を手にして自我を保てるか。
あるいは自身も鬼へと変貌してしまう恐れもある。
コレを見つけたのは俺だけ。
喰らうなら今しかない。
白藤さんは先程から戦況に目が釘付けになっている。
「あっ!!」
時透様の片腕が吹き飛んだ。
致命傷にはならないだろうが……
突然の出来事に皆の動きが一瞬止まる。
が、瞬き一つの間に時透の腕が元に戻っていた。
皆一様に驚いたが、これ以上動きを止める訳にもいかない。
一瞬で右手が戻った。
そんなことがあるはず……
ブシャッ。
玄弥の横で音がした。
「え?」
床に、白藤の右腕が落ちていた。
どういうことだ?
右腕が落ちたのは時透様だったはず……